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003
どうやら僕は時間に無頓着のようだ。それは分かっていたが、まさか時間割にも無頓着だったとは夢にも思わなかった。
「じゃあこの問題、ん~っと、誹夜籠くん解きたまえ」
これで八回連続だ。もうみんなも分かっている。唯一の救いは都議先生の担当科目が国語で、僕はそれなりに得意科目であった事だ。
ついでに、和歌ノ原は授業中に来たが、何故か僕にしか来ない。
「・・・はい」
黒板に答えを記入し、自分の席へ戻ろうとする。そこで契理が笑いをこらえているのが目に入り、結構本気でイラッとした。
「じゃあ次~、出席番号27番」
「・・・はい」
先生に気づかれないように、契理の頭を叩き黒板へ向かう。
そこで授業終了のチャイムが鳴った。
「ちっ、じゃあ終わりだ。それから誹夜籠、放課後職員室な」
これ以上何かしろと言うのだろうか。あの人は鬼か?こっちを見ていないのをいいことに都議先生に向かって舌を出してみた。あっかんべえの体制(小学生か)。
「ああ、それと・・・」
教室から出て行こうとする都議先生はいきなり立ち止まり、
「和歌ノ原もな」
そう言って振り返った。
僕は舌を出したまま硬直した。
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