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その中の一つ
規模としてはこじんまりしてるのに圧倒的な存在感を放つ
『蜃気楼』
「ここは…」
「ご覧の通りの花街でございます。様々な理由で働かれる方花をお求めになる方がいらっしゃいます」
この時やっと世話する花が人間だと気付いた
蜃気楼は静まり返りだれもいないように思えた
「何だか静かですね」
「この建物は人を選びます。江戸のころ妖(アヤカシ)であったと噂される姉妹がおりました。その後火の加護を受けた伽凌嬪伽の化身と言われた遊女がおりました」
黙って話を聞いていると一つの部屋の前で立ち止まった
「あまりに艶やかな華を咲かせた器にはささやかな華は合わないのでしょう。以来蜃気楼はその名の如く幻となったのです」
部屋は洋風で大正ロマンとか何とか言いそうなクラシックな品のある部屋だった
ベットの上には枯れた花
細く痩せた女の子がいた
「では宜しくお願いします」
その言葉とともに静寂が支配する
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