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「おい。侑都。さっさと目を覚ませ。絃那はとっくに起きとるぞ」
「うぅ…?」
雪の声でうっすらと目を開ける。
視界に入ってきたのは雪の呆れた顔と―――
視界一杯のまだ新緑の木、樹、葵。
「まったく…。心配させるでない。せっかく異世界に来たのにさっそく重病人を介護することになるかと思ったぞ」
「えーと…。ここどこ?」
「ん? 精霊が住んでいる森じゃよ。こっちに来る前にワシが言ったことをもう忘れたか?」
あー…。たしか魔法を教わるんだっけ?
にしても、これが異世界か…。
………木しかないからよくわかんないけど。
「で。精霊がいる場所はわかってんの?」
俺は体を起こしながら質問する。そーいや、絃那はどこに行った?
「それは絃那に探させておる。近くにあるはずじゃからな。じきに戻ってk「二人ともー! 呼んできたよー!」」
絃那が背の低い木と木の間から出てくる。で、…呼んできた?
「ほう…。流石は絃那。ワシらに精霊のもとに行かせるのではなく連れてくるとは…。おーい絃那ー。こっちじゃ…………?」
なにが流石なんだ?
「あ! 侑都、起きたんだね! おはよ!」
……………(俺・雪絶句)。
「むぅ…。侑都、おはよって言ったんだから返事をs「グルル…」あ、紹介するね?」
絃那は隣の深緑色の鱗、深緑色の瞳の、立派な翼の生えた巨大な爬虫類に触りつつ言った。
「この子は緑龍のアオイ! ボクたちに魔法を教えてくれるんだって!」
ダッ
ダッ
俺・雪。逃走開始。
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