開戦

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「はあ……」 2階に到着すると、アグニエシカは溜め息を吐いた。 まだ敵が潜んでいた事に関してだ。 人が2人が横に並べる広さの廊下だ。 そこに2人が並んで立っていた。 長い水色の髪とメイド服という共通点がある。 その共通点を除けば、片方はみつ編み、もう片方はツインテールの髪型をした女性だった。 アグニエシカは彼女達のプロフィールを思い出した。 前者の方は朔、後者は燦である。 ここにいるという事は門番だろう。 残念な事にアグニエシカと島津にはどうにかする術はない。 「お願いだから通して!! 『この世界』が壊されるんだよ!!」 島津が懇願していたが、それは無意味である。 「私は……あなた達の世界を救いたいの!!」 島津の叫びの直後に朔はどこからか突然に現れたナイフを取り出した。 アグニエシカは白銀の剣を構えて、朔の一挙手一投足を見逃すまいと目を細めていた。 やがて、朔はナイフを投げた………………燦に向けて。 「え?」 惚けた声を出したのはアグニエシカだけだった。 島津は当然とばかりに、朔は燦に標的を絞っていた。 「あなた方が『この世界』を救う方々なのですね?」 朔は視線は燦に向けたまま、アグニエシカ達に問い掛けた。 それに対して「えぇ」と短く肯定する。 「相原美香様という方から連絡は頂いていました。あなた達が『この世界』の味方である事を」 美香ーー相原美香に直結した。 彼女は一体何者であるかが気になってしまう。 恐らくはオプスキュリテの友人が情報収集能力に長けているからと判断する。 それよりも何故朔は『この世界』に起こった異変を受けていないのか? 「あの人は『この世界』が創作物って知ってるの」 アグニエシカが内心で抱いた疑問に答えたのは島津だった。 「そう……だったのね」 ようやく納得ができた。
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