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《探偵》
ふむ、と俺はパールの姿を上から下まで眺める。
人間に近い部分は多い。ややつり気味の眼、細い眉、ただし顔立ち自体は若干幼い印象。やや癖のある黒い髪はショート。二本の天に向いた短い角。
胴体は普通だ。パールは基本的に黒い服を好むが、しかし動きやすいように袖があるものはほとんど着ない。下もショートパンツだ。ただそのショートパンツからは黒く長い尻尾が生えている。かなり硬く、表面はまるで甲羅のようだ。
そして、脚。太ももから膝の上までは人間と変わらないのだが、膝から下が黒く硬い表皮に覆われ、そして人間に比べるとやや細い。足の指は三本で鉤爪がある。ちょうど鳥の足のような形状。
とまあ非常に説明に面倒な姿だが、大まかに言えば角と尻尾と脚以外は、少なくとも容姿に関しては人間と変わりないということだ。
俺は居心地悪そうに俺の視線を受けているパールに総評を下した。
「大丈夫、欲情できる」
「それは遺言っていう解釈で合ってる?」
人目を微妙に集めながらも移動する。
特に予定があるわけでもないので、商店街をぶらつくことにした。
「おーっ、見ろよパール。イキモノ図鑑だぜ」
「……あるんだね、それ」
とりあえずその本屋に入る。結構広い。背表紙がばらばらの本棚の下に平積みにされている『イキモノ図鑑』を手にとって開く。
「『世界のイキモノ』だってよ。項目に『にんげん』が入ってるのがファンタジーって感じだよなー」
「『どうぶつ』、『しょくぶつ』、『えるふ』、『まぞく』、『まもの』、『りゅうじん』、『ようせい』、『まじゅつし』、それに『にんげん』と『ほか』。……他?」
「ふむ、これによると未確認生物みたいだな。ほら、『ゆきおんな』とかあるぜ」
「なんかいろいろ混ざってない?」
「『かっぱ』、『おに』、『うらしまたろう』、『いっすんぼうし』、『びっぐふっと』、『すかいふぃっしゅ』、『ねっしー』」
「浦島太郎って人間じゃなかったんだ……」
「後半三つはこっちじゃ普通に魔物の一種だと思うんだが」
と、そこで、
「しかしそれにしても、魔女はいるのに悪魔っ娘はいないのはどういうことなのでしょうか?」
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