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「終わりました」
「失礼します。ほう、これはこれは……!」
「完璧よ凛ちゃん!ご苦労様。ほら薫ちゃん、起きた起きた」
軽く揺すられる感覚と共に薫の意識が浮上する。
「……あれ、俺は確か」
「うふふ、おはよう薫ちゃん」
寝ぼけ眼を擦って周りを見ると、そこには満面の笑みを浮かべた大人の3人と、仏頂面の少女がいた。
「…そうだ!確か母さんに手刀をくらって!」
記憶が鮮明化し、勢いよく立ち上がる薫。同時に体にまとわりつくような軽い違和感を覚えた。
なんだか胸の辺りが重く、下半身がスースーするような気がする。
「そんな事よりあなた凄いわよ薫ちゃん!ちょっとこれ見て!」
文句の1つも言おうとした薫は母親が用意した姿鏡に写った人物を見て言葉を失った。
「ま、まさか…!」
目を擦って見てみる。
そこに写ったのは髪を降ろし、聖輪舞の制服を着た自分の姿があった。化粧のせいか元から曖昧な性別の境界線はいまや完全に女性側に傾き、どういった訳かそれなりに大きい胸までついている。
「なんですかこれは!?」
絶叫する薫を余所に3人が口々に感想を述べる。
「薫ちゃん…本当に薫ちゃんにもなれるのね!」
「危ない危ない、男と知りながらもコロッといくとこ……ごふっ!?」
「思った以上に自然ですね。これなら聖輪舞女学院でも問題なく過ごせるでしょう」
「お似合いです、薫様」
「ちょ、本当に大丈夫なんですか!?バレたって知りませんからね!?」
「大丈夫よ薫ちゃん。今の貴方、どう見ても女の子にしか見えないから」
「ぐっ…」
「しかしおっぱいとか凄いわね。いったいどうなってるのかしら?」
奏の疑問に凛が答える。
「片方20万円の特性シリコンパッドを特殊な接着剤で肌に付けてあります。色も薫様の肌に合わせましたし、繋ぎ目も特殊メイクで誤魔化しましたので下を見られない限りは大丈夫かと」
「そんなものがあるのね」
「日本の技術力のおかげです。それと一応防弾仕様になっていますので」
「何やってるんだよ日本!……はっ!」
何かに気付いたのか慌てて股間に手を伸ばす薫。が、すぐに安堵の表情を浮かべる。
「流石にそちらは切り離していませんのでご安心を」
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