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「まさか…」
「そんなはずがない、と言いたいんですよね。わかっています。宮代 雪奈自身、非常に思いやりがあって優しいのは既に裏がとれています。北条氏もそれを知ったからこそ彼女に遺産の一部を与える事にした訳です。
けど、北条氏亡き後の北条家はそう考えなかった。宮代 雪奈が卒業してしまえば彼女は真実を知り、遺産も一部とはいえ失ってしまう。一刻でも速くその事態をとり除きたい彼等はある手段に出る事にした」
「……もしかして、彼女を消すために殺し屋を雇ったとかいうんじゃないでしょうね?」
薫が呆れたように返すと、秋山は笑いながら手を叩いた。
「お見事、正解ですよ薫君。君の推測通りです。証拠は掴めていないんですが彼方はどうやらウチの組織の対局に位置する暗殺集団に依頼を出したようです。恐らく契約金は3億」
「3億……」
「あちらからすれば損して得とれって事なんでしょうね」
罪もない少女を殺すためにそこまでする人間がいるのか…!
薫は知らないうちに憤りさえ感じ始めていた。
「……って、ちょっと待ってください。なんで貴方達がそんな事を知ってるんですか?遺言は普通内々に伝えられるはずでしょう」
「お、いいところに目を着けましたね薫君。まさにそこなんですよ、我々がここに来た理由も」
秋山はニヤッと笑って一気にファイルの最後のページを開いた。そこには【遺言】と書かれた1枚の手紙が入っている。
「もしかして、これは」
「そう、北条氏の遺言書です。実はウチの代表、生前の北条氏や【ある人物】達と仲が良かったようで、こうなる事を危惧していた北条氏がうちにも遺言書を寄越していた訳です。で、その他の人達というのがこちらな訳で…」
秋山は手紙の後ろから1枚の写真を取り出して薫に見せた。
それを見た薫はまた絶句し、除きこんだ母は「まぁ」と声をあげた。
「…何やってたんですか父さんは」
写真に写っていたのは全部で4人。内1人は今よりずっと若いものの、世界を巡っている薫の父、七月 玄道その人だった。
その隣には北条氏が並び、更にその隣には今やこの国の首相となった人物までもが写っている。
では最後の1人がロイヤルセキュリティの代表なのだろうか。
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