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「まあ、こっちの繋がりは私じゃ見当もつきませんがこの4人は結構仲が良かったようで。
北条氏が代表に依頼を出し、貴方の事を思い出した代表によって私達はここに来た訳です」
「あら、そうなんですか」
「知らなかったんですか母さんは!?」
「ええ。だってゲンちゃんあんまり帰ってこないし、2人でいると手合わせした後に夜の試合にまで雪崩れこんじゃうから」
「はいはいわかりました。聞いた俺が野暮でした!!」
妙なところで未だにラブラブな両親の様子に思わず薫はため息をついた。
「……まあ、我々も一時期は手詰まり状態になりましてね。こういっては難ですが、高校3年くらいの人員、しかも女性となるとまだ見習いレベルもかくやという程度でまだまだ頼りになるとは言えない。しかも相手はどんな手段を用いてくるかわからない凶悪犯罪組織。とてもターゲットを守れるとは思えませんでした。
まあ、そこで代表が君の事を思い出したのが運の尽きですね。七月家の人間なんだからきっとその辺のボディーガードより腕が立つんじゃないかと。容姿を見た時はまさか男の子だとは思いませんでしたが」
クスクスと笑う秋山の姿を見て、薫は今この場にいない父親を激しく恨んだ。
「結果としてはこちらの予想を上回る程の完璧さです。武術が強く、頭も良い。家柄も伝統ある名家だし、何より大した女装の必要も無く聖輪舞女学院に潜入出来るのは君をおいて他にいないでしょうね」
「ちょっと待ってください!何か完全に俺が行くノリになってますけど俺は男ですからね!?行けませんからね!!」
秋山は「はぁ」といかにもわざとらしいため息をついた。
「薫君は良い人だって聞いたのに、こんな可哀想な娘を自分は男の娘だからって理由で見捨てるんですか?」
「そこが一番重要ですからっ!あとコの部分わざと間違えただろ!?」
「文章にしないとわからない部分に突っ込むなんて薫君は細かいですねぇ。まあ薫君はともかくとして、お母様は違うようですよ」
「は?」
ふと隣を見ればそこには真剣な顔をした母の姿。
「薫ちゃん、頑張って!」
「ちょ、親でしょ止めてくださいよ!」
「だって~、この宮代さんって可哀想なんだもん。だいたい困ってる人を助けなくて何が七月の人間ですか」
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