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「あず、どうかした?」
翼が心配そうに覗き込んでくる。
その髪が触れてくすぐったい。
「…なんでもないよ。」
気味が悪い。
低くどこか妖艶のある男の人の声のような…。
「翼、あっち見にいこ!」
壬生塚と書いてある赤い橋が架かっている方を指さす。
「あ、あぁ。」
翼の腕をがっちり掴んで足を速める。
じっとしていられない。
頭の中で警告が鳴るように、この場所は何かあると直感する。
―――ようやく、思い出した?
「ひっ!」
橋に差し掛かったところで、声がはっきりと聞こえた。
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