タイムスリップ

3/21
前へ
/68ページ
次へ
「それが今流行りのファッションなんですか?」 そーっと尋ねる。 最近テレビとか雑誌とか読まないでいたから、流行に取り残されちゃった? 「ふぁっしょん?」 予想も出来ない答えがきた。 もはや、答えじゃないけれど。 三人は眉間にしわを寄せ、私を舐めるようにじろじろと見てくる。 私、そんなおかしいこと言った? 「近藤さん、やっぱりこの子おかしいですよ。さっさと殺っちゃいましょうよ。」 一番小柄な男の人が口を開いた。 殺る? お芝居でもしているんだろうか? ここは映画村だとか? ふいに懐に視線を落とす。 「かっ、刀!?」 いやいや、刀はダメでしょ。 明らかに法律違反。 なんていう法律かはわからないけど。 「これはなんのテレビの撮影ですか?」 きっとそうだろう。 戦国時代のドラマみたいな、そんな感じ。 私はただ肯定されることを願っていた。 「キミは、頭がおかしくなっちゃったのかな?」 さっき私を殺そうといった人がにこり、と口角をあげる。 違う。 尋常じゃないくらいの常識の食い違いに、熱がサーッと退いていくのがわかった。
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加