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そんな他愛ない話をしていれば無事寮についた。
「ここが寮だよっ」
ボクの言葉に、くろは目の前の寮を見てポカーンとしてた。
「……でっけぇ」
「確かに一般の寮よりははるかにデカいよな。まぁそのうち慣れるだろ」
ボソッと呟いたくろにちーちゃんは苦笑いしながら同意している。
「普通だと思うよ?」
むしろ、これより小さい寮なんてあるのかな?どーやって住むんだろう…。それにボクん家より小さいし…
ボソッ
「え!?これが普通!?」
「これだからお金持ちは…」
「?」
ボソボソとボクを見ながら内緒話をする2人にボクは首を傾げた。
中に入ってもやっぱりくろは驚いてた。「シャンデリアが…」とか「レッドカーペットが…」とかぶつぶつ呟いてた。
そんなくろをちーちゃんが慰め?ながら寮長室へ向かった。
ピーン ポーン
寮長室のチャイムを鳴らせばドタバタと忙しない足音が聞こえて10秒もしないうちに扉が開いた。
「はいよー。…ってはるじゃねーか!今日も可愛いじゃねーの!どうした?ケーキ食いたいのか?」
扉前のボクを見ると、寮長の熊田 人志(くまだひとし)は笑顔で訊ねてきた。
ボクは寮長をくまさんと呼んでいる。というよりそう呼んで良いって言ってきたからありがたく呼ばせて貰ってるんだ。
「違うよくまさん。くろの案内なのっ」
「くろ……?」
ボクの言葉にくろとちーちゃんがいるのを今気付いたくまさん。
まったく視界に入ってなかったんだね…。
「伊東に……おぉ!お前さんが噂の転校生か!!」
くろを見て嬉しそうにくろの背中をバシバシ叩くくまさんにくろは少し痛そうに顔を歪めていた。
多分、生徒が増えて嬉しーんだと思う。くまさん生徒想いだもん!
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