あにまる1

11/28
前へ
/38ページ
次へ
「噂って……」 くまさんの言葉にくろは訝しげに聞いている。 確かに、噂のってなんだろ… 「知んねーのか?難しい編入試験をほぼ満点でクリアしたすっげー頭良い転校生って有名だぜ?」 … え~!すごいくろ!!しょーちゃんが編入試験は通常より難しいって言ってた。それをほぼ満点ってことはくろは頭が良いんだねっ! 「すげー!これも王道だぞ!」 「いや…なんか期待を裏切るようで悪いけど、俺頭すっげー悪ぃから」 「は、」 くろの自分頭が悪い発言にボクは勿論、ちーちゃんとくまさんも唖然とした表情をする。 だ、だって……ね? 「…じゃぁお前、裏口か?」 「そこまでは流石にしねぇっての…」 くまさんの神妙な顔つきにくろはため息を溢して説明しだした。 「前の中学では喧嘩三昧の日々を送ってて…ある日教師殴ったらついに退学になっちまってさぁ」 あっけらかんと話すくろにくまさんはポカン、ちーちゃんは目をキラキラさせ、ボクに至っては『けんか』は未知の世界なので感心しながら聞いていた。 「それを知った叔父さん…ここの理事長が編入試験さえ合格すれば入れてくれるっつーから、死ぬ気で勉強した。マジで」 いやーあれはマジで地獄だったわーって笑うくろにボクも何だか笑えてきた。 んと、取り敢えず今回の成績はくろの必死な努力の賜物で、元はそんなに良くないってことだよね? 「理事長の甥ktkr!!」 「ハハッ!お前面白いなぁ。今さらだが俺は寮長の熊田人志だ。何かあれば俺に言えよ」 「え、あぁ…俺は原田久音」 「原田!お前みてーな奴は嫌いじゃねぇぜ」 「あ?さ、サンキュー…?」 ワハハとごーかいに笑って言うくまさんに、くろは戸惑いながらもお礼を言った。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1211人が本棚に入れています
本棚に追加