あにまる1

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おーいって転校生の顔の前で手を振れば、ハッとした顔で慌て出した。 「だいじょーぶ?どっか痛いの?ボクね、ばんそーこ持ってるよ」 背中のリュックを見せて言えば、転校生は慌てて両手を胸の前で振りだした。 「い、いや、大丈夫!怪我とかしてねぇし!」 「そうなの?良かった」 なーんだっ ずっと固まってるからどっか痛くて動けないのかと思った。 「君、転校生だよね?」 「え?あぁ…今日寮入りする原田久音(はらだくおん)。俺は多分1ーSだと思うけど…」 「ボクは2ーSで風紀副委員長の柚木院遥だよ」 「に、2年!?しかも風紀副委員長ぉ!?」 …あれ。自己紹介しただけなのにすっごく驚いてる。何でだろう。 2年と風紀副委員長ってとこで驚いたよね? 「むぅ…ボクが小さいからってバカにしてる?」 「い、いや…(最初見たときは小学生かと思ったから)ちょっと驚いただけ……っす」 なら良いけど… ってゆーか、ちーちゃんはいつまでぶつぶつ言ってるんだろーね? 隣でちょっとうるさいけど我慢、我慢! 「ねぇねぇ、くろって呼んでいーい?」 「は、くろ…っすか?」 「うん。まっくろくろすけみたいだから?」 「はぁ…別に良いっすよ」 「じゃぁくろ!」 「うっす…俺は………じゃぁはる先輩で」 「はる先輩……!」 くろがはる先輩だって!わぁーなんか新鮮!みんな何故か『柚木院様』か『遥様』って呼ぶんだもん。仲の良い人でも『ゆず先輩』とかだし…。 名字の方が呼びやすいのかな? 「その隣の人も先輩っすか?」 「あ、うん。ボクと同じクラスで風紀委員の伊東千尋。ボクはちーちゃんって呼んでるんだ」
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