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ガサガサという音が、階段近くの藪から上がった。
「な、なんだ!?」
「(あ、もしかして……)」
驚く柊司と平然と藪を見つめる響子。
柊司は箒を構え、藪に正対する。
そして、中をつつこうとした、その時、
「うらめしや〓!!」
突然、傘を持った少女が藪から飛び出した。
思いもよらない相手の出現に、柊司は勢い余って尻餅をつく。
「うらめしや〓、呪うぞ〓、食っちゃうぞ〓」
「……………………えと、響子さん?この可愛い女の子も、妖怪?」
「そうです。その子は多々良小傘ちゃんっていう、化け傘なんです」
続く化け傘、小傘の脅かしに対し、驚く様子のない柊司。
それどころか、彼女を無視して響子に質問までする始末である。
「……うるっ(泣)」
「へ……?」
「うわぁぁぁあん!!」
「えぇぇぇえ!?」
突然、泣き出した小傘に驚きを隠せない柊司。
そんな彼の横をすり抜け、響子が小傘の背中をさする。
柊司は訳が分からず、ぽかんと口を開けていると、小傘が口を開いた。
「わ、わちき、幻想郷に来たばっかりの人間も驚かせないの〓?」
「気にしちゃだめだよ、小傘ちゃん」
「えぇ、と?」
相変わらず事情が飲み込めない柊司は、目の前で泣いている小傘と、それを慰めている響子をみて、右往左往するしかなかった。
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