山彦と門前掃除

5/7
前へ
/20ページ
次へ
ガサガサという音が、階段近くの藪から上がった。 「な、なんだ!?」 「(あ、もしかして……)」 驚く柊司と平然と藪を見つめる響子。 柊司は箒を構え、藪に正対する。 そして、中をつつこうとした、その時、 「うらめしや〓!!」 突然、傘を持った少女が藪から飛び出した。 思いもよらない相手の出現に、柊司は勢い余って尻餅をつく。 「うらめしや〓、呪うぞ〓、食っちゃうぞ〓」 「……………………えと、響子さん?この可愛い女の子も、妖怪?」 「そうです。その子は多々良小傘ちゃんっていう、化け傘なんです」 続く化け傘、小傘の脅かしに対し、驚く様子のない柊司。 それどころか、彼女を無視して響子に質問までする始末である。 「……うるっ(泣)」 「へ……?」 「うわぁぁぁあん!!」 「えぇぇぇえ!?」 突然、泣き出した小傘に驚きを隠せない柊司。 そんな彼の横をすり抜け、響子が小傘の背中をさする。 柊司は訳が分からず、ぽかんと口を開けていると、小傘が口を開いた。 「わ、わちき、幻想郷に来たばっかりの人間も驚かせないの〓?」 「気にしちゃだめだよ、小傘ちゃん」 「えぇ、と?」 相変わらず事情が飲み込めない柊司は、目の前で泣いている小傘と、それを慰めている響子をみて、右往左往するしかなかった。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加