一日目 船頭と川流れ

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響子の報告を受け、白蓮はかつて自分の復活に奔走してくれた仲間を呼び出した。 彼女は彼らを三つの班に分け、命蓮寺周辺を探すよう命じる。 「もう、なんでアイツなんかのために……」 「聖の言うことだ、逆らう訳にはいかないだろ?それに、あたしも心配だしな」 「私は心配じゃない!」 そのうちの一班、村紗水蜜と雲居一輪、そして彼女の使い入道の雲山。 彼女達は命蓮寺の入り口周辺を探していた。 一輪が愚痴を漏らす。 「大体、ネバネバした化物って何よ?」 「あたしに聞くなよ」 話しながら藪の中を進む二人。 ふと、村紗の足に何かが触れる。 少し柔らかく、気味の悪い感触に、彼女は思わず下を見るのを躊躇った。 「どうしたの、ムラサ?」 一輪に話しかけられ、彼女は意を決して足元を見た。 途端、悲鳴に近い奇声を上げる。 「ひぁ、ぁぁぁい!?」 「うわぁっ!?」 同じく村紗の足元を見た一輪も叫ぶ。 そこにはドロドロに溶けた樹木があった。 村紗が踏んだのは樹木のちょうど真ん中、一番溶けているところだ。 彼女の背筋に悪寒が走る。 「な、にぃ、これぇ!?」 「わ、ムラサ、こっちに足をむけないで!」 思わず上げた足に粘着質な液体がべったりと張り付き、伸びる。 雲山さえも、苦々しい表情をした。 「ん?ムラサ、あれを見て!」 何かに気付いた一輪が、指を指す。 その先には溶けて倒れた樹木が道の如く続いていた。 二人は顔を見合わせ、頷く。 「もしかしたら、アイツが通ったあとかも」 「だな。よし、行こう!」 「ええ。でもその前にムラサ……」 一輪がジト目になる。 彼女は足元を指差した。 「足、キレイにしてから、ね?」 若干、引くようだったと村紗は感じた。
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