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「おい、柊司!」
「え……?」
声に顔を上げると、そこには村紗と一輪がいた。
村紗は河の中に入りながら、彼に手を伸ばしている。
「心配したぞ?ほれ、掴まれ!」
徐々に近づく手。
しかし、柊司はそれを拒むように更に河の中央、深い場所へと向かった。
驚きの表情を隠せない村紗は、怒鳴る。
「おい、何してんだ!」
「こいつが村紗さんに移らないとは限りません」
冷静な口調で柊司は言う。
彼の身体は既に水に浮かんでおり、河の流れに乗り始めていた。
もう一度、村紗が怒鳴る。
「お前はどうするんだよ!?」
「なんとかこいつを剥がして、自分で帰って来ますよ」
離れて行く柊司を追いかけるため、村紗も河の中央に入っていく。
柊司は顔をしかめたが、無言のまま近場の岩にしがみついた。
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