25人が本棚に入れています
本棚に追加
朝食を終え、命蓮寺のメンバーは自己紹介を始めた。
妖怪、という単語や幻想郷についての説明に疑問を持った柊司であったが、自分の身に起こっていることを考えると、信じるしかなかった。
全員の軽い紹介が終わり、柊司の番となった。
が、
「はぁ?家族や自分の生活がわからない?」
「ええ。なんて言うか、知識はあるのに記憶がないと言いますか……」
「キミね、おちょくるのもいい加減に――」
「名前は、相澤柊司。ヒイラギを司ると書いてシュウジです」
ナズーリンを無視して話し始める柊司。
「頭は良くも悪くもありません。体力は並よりあると思いますが普通。結構、細かいところに気がつくと自負してます」
「……えっ、と?」
「自分はいらない子だと思ってるんで、その手の話題は全部受け流してくれたら幸いです。以上、紹介を終わります」
これでいいですか、と柊司は白蓮を見やるが、彼女はぽかんとして柊司を見ている。
彼女だけではない。
命蓮寺の面々、マミゾウでさえも彼を不思議なものを見るような目で見ていた。
「……皆さん、どうかしました?」
「お前さん、随分と堂々としてるのう?」
口を開いたのはマミゾウであった。
先ほどのぬえのように、まじまじと柊司を見つめる。
「な、なんですか?」
「いやなに、儂は外の妖怪じゃからな。お前さんみたいな人間は珍しいと思っただけじゃ」
「はぁ……」
よくわからないながらも、相槌をうつ柊司。
それに対しマミゾウはなにやら、うんうんと頷くだけである。
最初のコメントを投稿しよう!