夏のはじまり(記憶と夢)

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ぼーっと 駄菓子屋の店先のベンチにならぶ4人 飛行機が、空に白い模様を描く 「よっし、俺帰る」 と亮太が勢いよく、立ち上がる えーもう帰るの? 「あぁ、夜オヤジと出かけるから理科の宿題しないとな」 あ、忘れてた 「あ、私も忘れてた」 さすが美咲 ハイタッチ 「んじゃ、俺は帰るよ」 うん、バイバイ 「私もついでに送って行って」 バイバイ美咲、亮太 「バイバイ」 「じゃあなケント、陽」 「おぅ、じゃあな」 と手をふる、私とケント 二人乗りしたまま、バス停の前を左に曲がった。 はぁ、ヤンキーと2人か 「ヤンキーじゃねぇよ」 ケントは、見た目がヤンキーだ 制服のカッターシャツの下に赤いタンクトップ、少し腰パンぎみに履いたスラックス。 髪の毛は明るめの茶色 これは地毛なのだが、家でケントとケントのお母さんだけ、髪が明るいのだ 色は良いとしても、長すぎると思う… 見た目がヤンキー…ていうか少しヤンチャなんだ、少しだけ 暑いね 「だな、あ」 どした? 「昨日さ、レンタルビデオ屋であれ借りれたんだよ」 あれ?あれって 「あの、ドラマの映画」 あぁ、みたい 「よしっじゃあ俺んちくるか?」 いくぞ 私はビンをおばちゃんに還して 自転車の荷台に股がった よしいけ 「よしいけ、じゃねぇよ。よいしょっと」 ゆっくり自転車が進む 一瞬ふらつくがすぐにたてなおす 坂を下る。 風が髪をなびかせる。 前髪を少し切ろう。 ケントの家は、この時間だれもいない、大工のお父さんは、お寺の修理から家を建てる、までなんでもできるんだ、って言ってた事をおもいだす。 お母さんは、郵便局で働いてる。 共働きとは、どんなものなのか… と思ったが、母親だけのうちとなんらかわりない 家庭だった。 ケントのお母さんがつくる チキンカレーは、めちゃめちゃ美味しい。 大きく切られた鶏肉とじゃがいも 、にんじんもサイコロ大に切られ 玉ねぎは、見えなくなるまで煮込まれる。 辛口のカレーは、小さい頃から大好きで、運動会の日やなにかイベントがあると、ハンバーグやトンカツ、唐揚げと目玉焼きの時もあった、がトッピングされるのだ 。 私がケントの家のカレーが好きなように、ケントはうちのオムライスが好きだ。 チキンライスではなく、パラパラのチャーハンに薄焼きの卵を巻いて、ケチャップをかける ケントはそれが大好きで 母さんも、ケントが来るとオムライスを作ってやる。
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