夏のはじまり(記憶と夢)

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あぁ、暑い。 つい声に出してしまう。 薄暗かった空がもうすっかり夏の空に変わっていた。 ゆっくり自転車をこぎ いつもどうりの通学路 少し早すぎるかもしれないが たまには良いのかもしれない。 坂を下り、ブレーキを握る 信号機の向こう側に 木造校舎が見える 鉄筋コンクリートの都会の学校を見たことがないけど きっと こっちの方が好きになると思う 現に今私はこの校舎が好きだ。 都会の生徒たちは、これを古くさいとか、ボロいと言うだろう そうしたら言い返してやるのだ 「あんたたちの校舎より、ずっと愛されてたからボロいんだ」 だってそうじゃない? 昔はみんな学校はきっと木造校舎だった、けど都市開発のために壊され、移転したり、ボロくなりすぎて改装したり まぁよくわかんない 大人の事情だろう。 わからないし、わかりたくない。 私はまだ子供だから。 現にこの校舎は、落書きもない メッチャきれい 都会の学校より きれいな自信がある。 だって私たちは、この校舎が学校が大好きなんだから。
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