prologue

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楓さんがだれのことを好きなのか、わたしはすぐにわかった。 雄一だ。 楓さんも、わたしと同じで雄一の事が大好きなんだ。 近すぎて、一人の女の子として見てもらえないって、妹だから……。 大好きで大好きなのに、気づいてもらえなくて、女の子として見てもらえないなんて悲しすぎるよ……。 わたしにも楓さんの気持ちがわかる。 わたしはまだこどもだし、楓さんやまゆみたく可愛くないし、素直になれないから、わたしの気持ちも雄一に伝わらないかも……。 そんなことを思うと、涙が勝手に出てきてしまう。 そんな中、雄一はちんぷんかんぷんなセリフを楓さんに言ったの。 「いつか絶対お前の想いが届く時がくる。元気を出せ。話くらいならいつでも聞くし、応援するから」 って、こんな感じのセリフを。 ……ないわー。 雄一、それはないわー。 思わず言っちゃったもん。 「……雄一、もしかしてわざとやってる?」 って。
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