episode.1 だからこそ

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その後、何故か上機嫌で、俺ににこやかな可愛い笑みや、少し恥ずかしげな表情を見せる楓と食事を済ませた訳である。 うん。今日もご馳走さまでした。 自分の使った食器を流し台に持って行き、洗おうとしたが、 「いいよ。あたしが洗っといてあげる」 と、楓が言ってくれたので、お言葉に甘えておいた。 ふむ。なんか、兄妹だけど、新婚の夫婦みたいだな。 「ありがとう。なんか、こうやってると新婚の夫婦みたいだよな」 無意識に口にしてしまった。 自分で言っておいてなんだが、キモい。 楓にしてみてもいい迷惑だよな、と思う。 が、楓はまた金魚みたいになり、別に悪く言ってくることはなかった。 そんなリビングを離れ、俺は自分の部屋へと向かう。
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