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「入るね」
そう言って部屋に入ってきたのは楓だった。
手にはトレイがあり、お揃いのティーカップがふたつ乗っている。
楓はそれをローテーブルに置き、口を開いた。
「お茶淹れてきたから、一緒に飲も?」
なんてできた妹なんだろうか。
わざわざ兄の部屋にお茶を持ってきてくれるなんて。
しかも、お茶請けにカステラまで。
一緒に飲もうなんて可愛いではないか。
「ありがと」
俺は携帯の画面を消し、身をおこしてベッドから降り、ローテーブルの前に腰を下ろす。
「ん。あたしが雄一と一緒に飲みたいだけだから」
楓はそんな事を言いつつ、俺の前にソーサーに乗せたティーカップをゆっくりと滑らせるのだった。
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