episode.1 だからこそ

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「しーっ。大きい声出さないで」 楓は口を塞がれ、身体の自由が効かない俺の耳元でそう囁くように言った。 「…………」 どう返事をすればいいかわからず、とりあえずコクリと頷く。 さて、今の状況であるが大変な事になっている。 俺のベットの中に何故か楓が入ってきているのだ。 しかもだ、楓は俺に抱き着いているではないか。 何してんのコイツ? 「あ、あのね……ちょっと寂しくて、眠れなくて、雄一の部屋に来たんだけど、起きてくれなくて……」 そんな有り得ない状況を作った張本人である楓は、ベットの主である俺に甘い声でそう言った。 ……寂しくて、寝れなかったら、お前は実の兄に抱き付くのか……。 これ、立場が逆なら俺、問答無用で大声出されて、エライコトになってるよな。
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