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「雄一とお話ししたいから……手はどけるけど、大きな声出さないでね……?」
色々と思うところのある俺に、尚も甘い声と上目遣いを向ける楓に、またコクリと首肯すると、楓は柔らかな手を俺の口元から退けた。
「……で、なに?今のこの状況?」
そんな楓に尋ねてみる。
「……だから、雄一とお話ししたいなぁって……」
相変わらず猫撫で声で答える楓だが、俺が聞きたいのはそうではない。
「……お前は、寂しくて話したくなったら誰にでも抱き付くのか……?」
とりあえず、率直な意見を楓にぶつけた。
「……ばか!!そんな訳ない!!あ、あたしは……あたしは……雄一が……雄一だから……」
少し楓が心配になる俺に、心配の種である楓は涙を浮かべて言葉をつまらせる。
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