597人が本棚に入れています
本棚に追加
……はぁ。
俺は大きな溜め息を一つ漏らした後、俺に抱き付き、涙目で言葉を詰まらせる可愛い妹の小さな頭を抱き寄せ、優しく撫でながら口を開く。
「……悪かった。お前はそんな奴じゃないもんな。俺と話したくて、寂しかったんだよな」
「……ひっく」
楓は言葉を返さず、俺の胸に顔を埋めながら、小さく頷いた。
……本当に甘えんぼな妹だな。
「お前が甘えてくれて俺は嬉しいぞ。ただ、驚いただけだ。だから、お前が寂しさを感じなくなるまで、ここにいていいから。お前が眠れるまでこうしといてやるから安心しろ」
甘えんぼの妹のさらさらな髪を何度も撫でながらそう言ってやる。
「……うん」
楓は少し落ち着いたのか、甘い声を漏らした。
とは言ったものの、この状況。
やはりアブナイと思うのだ。
年頃の若い男女が一つのベットの中、身体を密着させたこの状況である。
相手が妹だからまだしも……、いや、妹だから余計にアブナイのか。端から見れば。
もちろん、変な気持ちなんてない。
だけど、なんで女の子って奴はこうも男を刺激するのだろうか。
シャンプーだか、リンスだか、コンディショナーだか、トリートメントだか、ボディソープだか、せっけんだか知らんが鼻腔をくすぐるいい匂いがするし、なんか柔らかいし、暖かいし。
……あのね、お兄ちゃん眠れないよ。
でもね、実の妹に変な事できないし、一人じゃないからどうしようもないし。
……はい。今夜は眠れませんね。わかります。本当にありがとうございました。
最初のコメントを投稿しよう!