episode.1 だからこそ

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……はぁ。 俺は大きな溜め息を一つ漏らした後、俺に抱き付き、涙目で言葉を詰まらせる可愛い妹の小さな頭を抱き寄せ、優しく撫でながら口を開く。 「……悪かった。お前はそんな奴じゃないもんな。俺と話したくて、寂しかったんだよな」 「……ひっく」 楓は言葉を返さず、俺の胸に顔を埋めながら、小さく頷いた。 ……本当に甘えんぼな妹だな。 「お前が甘えてくれて俺は嬉しいぞ。ただ、驚いただけだ。だから、お前が寂しさを感じなくなるまで、ここにいていいから。お前が眠れるまでこうしといてやるから安心しろ」 甘えんぼの妹のさらさらな髪を何度も撫でながらそう言ってやる。 「……うん」 楓は少し落ち着いたのか、甘い声を漏らした。 とは言ったものの、この状況。 やはりアブナイと思うのだ。 年頃の若い男女が一つのベットの中、身体を密着させたこの状況である。 相手が妹だからまだしも……、いや、妹だから余計にアブナイのか。端から見れば。 もちろん、変な気持ちなんてない。 だけど、なんで女の子って奴はこうも男を刺激するのだろうか。 シャンプーだか、リンスだか、コンディショナーだか、トリートメントだか、ボディソープだか、せっけんだか知らんが鼻腔をくすぐるいい匂いがするし、なんか柔らかいし、暖かいし。 ……あのね、お兄ちゃん眠れないよ。 でもね、実の妹に変な事できないし、一人じゃないからどうしようもないし。 ……はい。今夜は眠れませんね。わかります。本当にありがとうございました。
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