episode.1 だからこそ

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「ゆういち……だぁいすき」 あれから少し時間が経った今、俺の腕の中で楓は眠っている。 思いっきり俺に抱き付きながら、上記のような寝言を呟くのだ。 もちろん俺は眠れるはずもなく、ひたすら朝が来るのを待っている。 くぅくぅ……と、甘い寝息が首や胸に掛かり、くすぐったいし、そのね、成長して膨らんだ、その、あの、おお、おっぱいとかがむにゅっと押し付けられたりと、絶賛思春期真っ只中の俺にはまさに拷問的な状況である。 ……こいつ、結構たわわに実ってやがる。 落ち着け俺。鎮まれ俺。 可愛い妹が兄に甘えているだけではないか。 と、心を空にし、雑念を捨て、身体を襲うさまざまな誘惑を蹴散らしながら、寝息を立てる可愛い妹の寝顔を覗いてみる。 なんでこいつはこんなに幸せそうな顔してんだろうな。 まぁ、兄としては妹に甘えられるのは嫌じゃないが。 むしろ、こんなに幸せそうに寝てるのを見たら嬉しくさえなる。 「可愛いやつめ」 ついついこんな台詞を吐いてしまった。 そして、空いている手で柔らかそうなほっぺをつついてみたのだ。 ……。 なんすか、この気持ちよさは。 あまりの気持ちよさに、つまんで伸ばしたりしてしまったではないか。 ……はぁ、何やってんだろ俺。
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