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とりあえず目を閉じてみる。
腕や体に楓を感じるが、気にしても仕方がない。
夜の静寂に包まれた俺の部屋の中、楓の寝息と時計の針の音だけが耳に入ってくる。
目を閉じたまま、どれくらいの時間が経ったのだろうか。
ふと、頭にある映像が映し出された。
…………。
今、この状況で一番ヤバイ映像である。
ちなみに目を閉じている為、現実に今見ている物ではなく、記憶の中にあるものだ。
…………。
それは、あろうことか、男鹿の野郎が俺に寄越したある本の中身なのだが、これが実にヤバイ。
なんつったって、兄×妹の18禁的なアレな本なのだから。
…………。
おいおい、俺よ。なんつータイミングでなんつーもんを思い出すんだよ。
一つベットの中、妹が兄に抱きついているこの状況だぜ?
やれやれだな。能代 雄一よ。
……くそが!!
「……んっ。ゆう……いちなら……いいよ……?」
!?
楓よ、なんつータイミングでなんつー寝言を言うのだ!!
落ち着け。落ち着け落ち着け。
オーケイ。能代雄一。
とりあえず大丈夫だ。
あのアレな本の中身は、お兄ちゃんに絶賛片想い中の美少女な妹の話だったではないか。
確かに楓も美少女だが、俺に絶賛片想い中なんて事は有り得ない事だろう。
そうだ。うん。
だから、あの本のような事には絶対にならないんだ。
楓は俺に甘えているだけなのだからな。
俺は自分に言い聞かし、目を開け、妹の姿を見て落ち着こうと考え、実行した。
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