死神

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死神

【死】……。 それを目前にした時に人は何を視ると思いますか? 僕の場合は何もない。 ただ苦しみばかりを経験した。 でも、水を口に含んだ時の感動は忘れない。 食べ物を深く味わえた時の感動は忘れない。 荒れたこの大地にそんな事を考え死を眼前にすると とても虚しい。 ああ終わりなんだなって。 貧血で前が霞む。 全身の力が抜けていく。 まるで、魂を吸い取られるかのよう。 そんな僕の目の前に一つの影が近付いてきた。 「おい小僧 生きているか?」 その影は僕の首を触ってきた。 とても冷たくまるで氷のようだ。 「……」 影は僕を担いでいた。 気が付けばそこは火を灯り替わりにした洞窟だった。
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