5人が本棚に入れています
本棚に追加
死神
【死】……。
それを目前にした時に人は何を視ると思いますか?
僕の場合は何もない。
ただ苦しみばかりを経験した。
でも、水を口に含んだ時の感動は忘れない。
食べ物を深く味わえた時の感動は忘れない。
荒れたこの大地にそんな事を考え死を眼前にすると
とても虚しい。
ああ終わりなんだなって。
貧血で前が霞む。
全身の力が抜けていく。
まるで、魂を吸い取られるかのよう。
そんな僕の目の前に一つの影が近付いてきた。
「おい小僧
生きているか?」
その影は僕の首を触ってきた。
とても冷たくまるで氷のようだ。
「……」
影は僕を担いでいた。
気が付けばそこは火を灯り替わりにした洞窟だった。
最初のコメントを投稿しよう!