あずま誕生日小説

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思えば自分の人生を大きく変えたのは、セレを探し異国を旅している時だった。 何の前触れもなく、体に衝撃が走って。まるで車にぶつかったかのような、激しい衝撃に気を失った。 そうして眼を覚ましたとき――目の前は血の海だった。 自分の手を見下ろせば、真っ赤に染まっていた。 自分の血じゃない、人の血。服にもべっとりついた返り血の匂いが鼻をついた。 何が起きたのか、分からなかった。 ただひたひたと恐怖心だけが忍び寄ってきて。 状況から見て、自分が殺した以外に考えられなかった。そんなわけないと否定しても、時間がたつごとに人を殺した感覚が手によみがえってきて。 自分が恐ろしかった。何でそんなことをしたのか分からなかった。 それから、意識を失いその間に人を殺めることが繰り返し起こった。 毎日いつ自分が殺戮を犯すのかと気が気ではなかった。 いっそ死ねば救われるとも思ったけれど、死ねなかった。 『命は神様から与えられた大切な物なの、だから、自分の命を大切にね。』 いつも生前に母が言っていた言葉だった。
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