あずま誕生日小説

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長時間は人間の世界に滞在することができず姿を眩ます事はあっても、ファルゼンは基本家にいた。 そんな彼の人となりといえば、傲岸不遜、唯我独尊という言葉がぴったりの『神』からかけ離れた人物であった。 金があるわけでもない、家だって小さいけれど、それでも楽しかった。 毎日簡単な仕事をして金を稼ぎながら、セレの行方を知る情報を探していた。 そうして三人で数年を過ごした。 あるとき、ファルゼンが一つの提案をした。 『・・軍を立てる気はないか。』 『は?何で?』 『今は魔物の増加で軍の需要が高まっているからな、儲かり時だ。』 『儲かり時ねぇ・・。でも、メンバーは・・?』 思わず尋ねると、ファルゼンは自分とムサシを指差した。 『お前が隊長、ムサシは副隊長。』 『・・あのさ、ファルゼン様。軍ってもっと人数いるもんなんじゃ・・。』 遠慮がちに言うとファルゼンは表情を変えずに言った。 『一人で百人分働け。少数精鋭の何が悪い。』 この人は神なんかじゃない、鬼だ、悪魔だと思った。 というかその魔物って本来天界がなんとかするものなんじゃないのか。 勿論そんなことをいえる訳もなく半強制的に軍を設立することになったのだが。 巨大な光り輝く星から名をとり『アルタイル軍』と名づけられた軍は、わずか二名の軍となった。 明らかに名前負けしている。
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