あずま誕生日小説

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「セレ、着替えたぞっ。これでいいか?」 「あぁ、ムサシさん、それはそう着るんじゃなく…ちょっとじっとしてて下さい。」 あちこち、軍にスカウトする人材を探してまわって。 少しずつ、仲間が増えていって。 バットとエリーを仲間に加えたところで、セレと再開した。 生きていてくれて、ほっとした。 レオンを拾って、元光もくっついてきて。セレの友人である天翔もなぜか軍に入り浸るようになって。 相変わらず少数には違いないけれど、最初より随分増えたものだ。 朝食をとり、パーティーにでる為用意された衣装を身に着ける皆を眺めてあずまは感慨深く思った。 眠りについた後に見た昔の夢に、銀髪の人を思い出す。 最近会っていないファルゼンは、どうしているだろうか。 「あ、レオンくんと元光くん着替えました?バットさん、早く着替えて下さい。」 セレがてきぱきと全員の着替えを手伝う。 用意された豪華な服に着慣れない皆が戸惑っているのが分かる。 「・・触るな、自分で着替える。」 バットは眉をよせてセレの援助を断ると、さっさと着替え始めた。 全員が着替え終わったのを確認して、セレがあずまに向き直る。 「皆さん支度ができましたよ。行きましょうか。」 「ああ、そうだな。」 主賓であるあずまは皆より先に出なければならない、その傍付であるセレもだった。 ドアに向かいながらセレが振り返ってムサシ達に声をかける。 「何度も言いますが、くれぐれもパーティー会場ではマナーよくあずま様の友人ということを意識して下さいね?」 着替えの折に耳にたこが出来るほど聞かされた言葉を念押しされて、ムサシは口をへの字にした。 「分かったって。セレ、そんなに信用してないのかー?皆大丈夫だって。」 一番言動でボロを出しそうな不安要素がムサシな為、セレはその言葉に苦笑いを浮かべた。 「信用しているからお招きしたんです。ですが、友人として招かれた皆さんが粗相をした場合非難を受けるのはあずま様ですから。」 その言葉にあずまが俯く。 他のみんなの誕生日の時は、散々騒いでいたのに。 そんな風に忠告されては楽しめないし料理も味気なくなるではないか。 こんな形式ばった誕生会より、皆で家でやる方が楽しかったと後悔する。 「行きましょう、シャルクス様。」 セレの言葉に、室をでる。 室をでた瞬間無表情になったあずまに、セレも表情を引き締める。 今の彼はもうあずまでなくシャルクス王子だった。
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