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「おめでとうございます、シャルクス殿。」
「おめでとうございます、シャルクス様!」
あちこちからくる祝いの言葉に微笑を貼り付けて応じる。
「ええ。わざわざお越しいただきありがとうございます。」
「次期王となられる貴方の誕生会に出席しない者など居りますまい。」
そういって笑う男に適当に相槌をうつ。
裏で陰口を叩いているくせによく言う。
腹の中にどろどろと嫌な感情がうずまいて、不愉快だった。
「今日はご友人もいらしているそうですな?ご友人もさぞかし素晴らしい方なんでしょう、是非お会いしたいものです。」
素晴らしいなどと欠片も思っていない、ただ陰口の材料を増やしたいだけなことは明らかだった。
「呼んでまいりましょう、少々お待ちください。」
側にいたセレがそう言ってムサシ達の方に歩いていく。
立食式のパーティーでは、他国から招かれた貴族や国の重鎮があちこちで談笑していた。
ムサシ達は食事が並ぶ机の前で自分の食事を装っている。
セレに気付いたムサシが振り向いて声をかける。
「ふぁへ?ふぇふぇ、ふぉうふふぁ?」
「…ムサシさん、口の中のものを飲み込んでから喋って頂けますか。それはそうと、少しお願いが・・。」
そういってぐるりと全員を見回す。
友人として紹介する以上、しっかりと友人の名に恥じないような振る舞いをしてくれる人を選ばねばならない。
何をしでかすか分からないムサシを真っ先に却下して、残りのメンバーを品定めする。
元光とレオンは幼すぎる。
バットは他人に対して敬意を払うということを全くしない性格なため相手に何を言うか分からない。
エリーは真面目で礼儀も知り適任だが、気がかりなのは彼女が女性であるということだ。
あずまとエリーにその気はなくても、女性を親しい間柄だと紹介したら変な邪推をされかねない。
あることないこと吹聴される可能性があるのだ。
相手は粗探しをしにきているのだから。
「・・仕方ない、天翔、ちょっと来い。」
唯一選択肢に残った天翔にセレは声をかけるとそのまま踵を返した。
「へ?・・・何そのすごい妥協した感。」
首を傾げる天翔を無視してさっさとあずまのところに戻る。
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