序章

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またその翌日、俺は退院した。拍手で送り出されたが特に何も感じなかった。 その後は、葬式やら何やらで家族の居ない日々は慌ただしく淡々と過ぎていった。 葬式のときに、ハンカチ持った親戚のおばさんが何か言っていたような気がしたが、なんて言っていたか憶えていない。葬式のときの記憶さえ朧気だ。 だが、棺に入った三人の姿だけは異様に脳裏にこびりついている。 その後三人を先祖代々の墓に入れるなどしたら、待っていたのは驚くぐらい味気ない日常だった。 ただただ、日々が過ぎていった。
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