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俺は近所のスーパーでカレーの材料1人分を買い、レジでさっさと会計を済ませて帰路についた。
少し俯いてボーッと家の見えるところまでいくと───
アホ毛をヒョコヒョコ動かしながら、黒装束の女の子が家の前でウロウロしていた。
「あれ…?居ないのかな…?」
その女の子は首をかしげ、我が家を見つめている。
どうやら俺に用があるらしい。
「あのー?」
「ひゃいっ!?」ビクッ
アホ毛の女の子はビックリして、慌てて振り返る。
その女の子は、今日は暖かい日にも関わらず黒いセーラー服の上から黒いダッフルコートを着込んでいた。ただ一点、赤いスカーフが黒の中で浮いて見えている。
だが、コートを着込んでいるにも関わらず暑そうな様子は微塵もない。汗一つかいていないのだ。
つか、学校はどうしたのだろうか? セーラー服の胸元には鎌をあしらった校章のようなものが描かれており、どこかの学校の生徒だと予想できる。
そんな変わった謎の女の子は俺と目が合うと、慌てて姿勢を正した。
「す、すみませんウロチョロしていて……」
「あ、ああ、いえ。こちらこそいきなり声をかけてしまってすみません。驚かせてしまいましたね」
「い、いえ。大丈夫です。それよりもお尋ねしたいことがあるのですが……」
「はい、なんでしょうか?」
俺が訊くと目の前の少女は確認するような口調で言った。
「あなたが、天城空(アマギ ソラ)さんでしょうか?」
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