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「え、えっちな本で死神だと信じられるのは複雑ですが……。それは置いておいて、今日空さんを訪ねたのはご家族の遺言についてです」
「遺言?」
両親は即死、妹も『お兄ちゃん』って呟いただけじゃないのか?
「はい。その遺言はこの世界で聞いたものではないんです。言うなれば、この世とあの世のどこでもないところで聞いたものです」
「え?君が聞いたの?」
「はい。自己紹介がまだでしたね。私は死神、雲野茜(ウンノ アカネ)と申します。そして、空さんのご家族をお送りさせていただきました」
「へぇ……君が……」
目の前の少女は俺から奪っていった者だった。
だが、別に煮えたぎる感情も、ドロドロした感情も、なにも浮かばなかった。
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