序章

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「………」 最初に目にしたのは白い世界だった。 それが天井だということに気づいたのは結構な時間が経ってからだ。 そして、視界にニュッと入ってくるものがあった。白衣を着て、聴診器を首に掛けた年配の男性だ。 それで、自分がいるのは病院だということに気づく。 「目が覚めたね。気分は?」 医師はどこか深みのある声で俺に訊ねてくる。 俺は鈍痛にさらされながら未だぼやける意識の中ゆっくりと言葉を紡いだ。 「まぁ…そこそこです」 「ふむ。しかし、君も強運の持ち主だね。あれだけの事故に遭ってそれだけの怪我で済むとは」 怪我?事故? 頭に触れると包帯の布の感触がした。脚を動かそうとすると鈍い痛みが走る。腕も同様だった。
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