序章

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亡くなった? …………死んだ? 「親御さんは即死。トラックが正面から突っ込んだからだ。妹さんは瀕死、意識不明の重体で運び込まれたが、昨日お亡くなりになられた」 医者は淡々と言った。 事実を、ただ事実として。 ただそれは単純で簡潔すぎて 残酷過ぎた。 「それと、君の妹さんがね、亡くなる直前に少し意識を取り戻して呟いたんだ」 「……なんて……ですか……?」 「『お兄ちゃん』って」 「……………………そう……ですか……」 「うん。伝えるべきことは以上だ。君は明後日にでも退院できる。明日になったら霊安室にいきなさい。ご両親と妹さんがいるから」 「…………はい……」 何かあったらナースコールね、そう言って医者は出ていった。
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