15人が本棚に入れています
本棚に追加
「部屋、探してます」
「あ、ど、どうぞそちらにお掛けください!」
以外にも流暢な日本語でそんな事を言われたので、逆にテンパってしまったあたし。
カウンターの席を手の平で差すと、男は大きな体をゆっくりとその場所におろした。
他の二人も興味津々にこちらを横目で覗いている。
「えー…っと……」
…まず、この男が日本語を
どれだけ喋れるかが問題だ…。
あたしはニコニコとこちらを見つめるこの男に、頬をひきつらせながら笑い返す。
「…は、はろー?」
「あ、日本語喋れますよ」
「………」
「ぶっ!」
事務所の奥で、ジャイアンとスネ夫が笑いを漏らしたのが分かった。
「………」
肩透かしをくらった気分だ…。
そう思いつつも、ほっと胸を撫で下ろしたあたし。
よかった。
まともに話は出来るんだな。
「えーっと、場所はどちらでお探しですか?」
「この辺です」
「桜見坂付近ですね…。お一人でお住まいで?」
「はい」
あたしは手元にある受付票に記入しながら、いつものように質問をなげかける。
「ご予算はおいくらぐらいで?」
「ゴヨサン?」
「…あ、えっと、金額?家賃です」
「あーイエス!5万」
「………5万、ですね」
最初のコメントを投稿しよう!