永+臨

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もういいかい。まぁだだよ。 もういいかい。まぁだだよ。 彼がいなくなってから早くも季節は二巡目を迎えた。 今更ながら一年も一緒に居られなかったのかと思うと、わしの恋は案外衝動的なものだったらしい。 そして、今尚引きずってしまうほどに本気で。ついでにあきらめが悪いことも自覚してしまった。 いけないいけない。感傷に浸りすぎている。 けれど、なかなか抜け出せない輪の中で一人。 まるで隠れ鬼の鬼のように、隠れてしまった彼を探し続けている。 いい年をして、自分よりだいぶ年下である彼にずいぶん執着したものだ。 「エターナル」 つぶやく声に返事は、ない。 誰かの手が目隠しのように視界を塞いだ。 (コンニチワー、臨さん) (…いらっしゃい、永くん) (…………) (今お茶用意するから、そんな不貞腐れないでおくれよ)
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