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「あ。」
奏が指を差した先には黒づくめの男。その肩に乗ってるのは、
「アクロやん」
言ってしまってからやばいと思ってももう遅い。
猛スピードで襲撃をかけに行くエッダとそれに気付いた向こう。
「ひっ…!近寄るなロリコン!!」
威嚇する猫のごとく毛を逆立てるアクロ。
パチパチいっとるがな。
お、肩に乗せてたアクロを下におろしたなぁ。
ほぉ、怖気づかんと迎え撃つ気ぃなんか。
つか感電とかせんのかあいつは。
「エンドさん、何実況してるんですカ」
「や、暇やん。あ」
エッダが掴み掛かろうとした手を、やつが掴み返す。そのまま手の形が変わった。
「なんやあいつ」
奏をひっつかみエッダんとこに急ぐ。
別なほうからも二人駆け寄るとこやった。
「おう、おせーよアルカ。何してんだ」
やたら乗りの軽い男が黒づくめに話し掛けとった。
「旦那方も花見ですかぃ?」
荷物の酒瓶をちらつかせタナカとかいうやつもにやりと笑う。
「俺はアクロちゃんを助けに!」
「きもい」
「わたし、は…いつまで…捕まえていたら、いい?」
板挟みになっとる白髪が困ったように言うもんやから、つい。
「もう放してええよ。俺が見張っとるから」
ホッとしたように息をつき、手枷の形になっとった手を元に戻す。不思議なもんや。
「変形型のギミックとか、今度やってみようかナ」
隣は隣で勉強熱心なことや。
「おーし、じゃあ花見すんぞー」
ギター片手に宣言するランダ…やったか?
「あ、ランダの旦那。あっちにまだまだ荷物あるんで持ってきてくだせぇ」
言いたいことだけ言ってさっさと歩きだすタナカ。…エエ性格しとるな。
「おー…って、あの量運べってか!?ちょ、おまえら手伝って…」
「俺はこの馬鹿捕まえとかんとあかんから無理や」
「アクロちゃーん」
「くるな、変態っ」
「……っ」←盾にされている
「変形させるためにはバネとか…いや、また別な何かを…」
奏も自分の世界にはいっとるから無理やな。
「まじか…」
遠くの方で山積みになっとる荷物を見てがっくりと肩を降ろしたランダに少しばかりの情けをかけて。
(ま、あんじょうきばりや)
(理不尽だ…)
(ろりこん、とは…なんなのだ…?)
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