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そう言ってぎゃあああっ、と色気の無い声で叫ぶとパッ、と抱き締める力が緩んだ。
「んぁ?ああ、すまん。力入れすぎたな。」
そう言うと、次はあたしの肩に顔を埋めた。
「んー。真桜の匂いがする。」
「に、匂いなんて嗅がないで下さいぃぃぃっ!」
「良いじゃねぇか。少しくら……」
そう言うと急に左之さんはあたしから離れた。いや、離された。新八さんと平助君によって。
「ちょい、左之さん。これ以上は駄目だって。」
「そーそー。近藤さん見てみろ。そろそろ怒鳴るぜ?」
ほら、と言った新八さんの指差す方を見ると近藤さんが顔を真っ赤にしてぷるぷると震えていた。
マズイッ!
「近藤さんっ!あたしは大丈夫ですから、全然気にしてませんから怒らないで下さい。ねっ?」
直ぐに近藤さんに近づきフォローすると少しだけ困った様な顔をした。
「だ、だが。」
「ねっ?お父様っ!」
さっきの事を思いだし、一か八かで言うと近藤さんはにっこり満足そうに笑った。
「「「お父様ぁっ?!」」」
「仕方無い。櫻井君に免じて今回は許そう。だが、次は無いぞ。」
ぽかーん、としている左之さんに近藤さんはビシッ、と指をさした。
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