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ある航空機がニューヨークに向け自動操縦にて飛行中であった。その機内で、一人の少女が映画に夢中になっている。
彼女はふと、窓を開けた。
ちょうど、地平線の彼方にある太陽が、もう頭の部分しか残さず沈んでいる。
この鮮やかな景色を、彼女は滑らかな視線で見つめていた。漆黒が迫っている。これから夜が始まる。しかし、同時にそれは、とても素晴らしい光景だと、彼女は考えた。
そして次第に太陽はなくなってゆく。結局、沈んで消えた。
段々と青々としていた空は黒みを帯びていく。
彼女は、シャッターを閉めた。
「お父さん、母さん。もう夜だ」
「そのようだね」
父親は新聞を読みながら呟く。父親は通路側の席に座っている。
隣の母親は寝ていた。
また、セレナは再び座席に付属しているスクリーンに集中した。
セレナが観ている映画は、ゾンビ映画だった。地球に取り残された四人の男女が、地球から脱出するため日々ゾンビを殺していく内容だ。
座席テーブルに置いた、コーラのカップをたまに飲みながらその映画をのんびり観賞している。
一方、この機体の後部座席に、なにやら怪しい動きをするスーツ姿の男がいた。
彼は目だけで、周りを何度も何度も見渡す。 座席の下には黒いバッグが置いてあった。
しかも、その都度、コーヒーをちょこちょこと口に挟む。
少し落ち着いていない。どうも様子がおかしい。
すると、隣の座席に座っていた中年だろう、おばさんがじっと彼を見つめてきた。
彼はそれを感覚で捕らえ、凍りつく。数秒後、おろおろと新聞を取りだし、横から見えないよう、顔を覆う様にして読み出す。
おばさんは不服な表情を浮かべながらも、座席スクリーンへと視線を戻した
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