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「長々とすまぬな。お主の力を見せて貰うぞ」
刃引きされた剣をゆっくりと構える祭。
「…祭殿。剣術の心得はおありか?」
先に読んだ書物によれば、黄蓋と言えば、弓の名将であったはずだ。
「心配いらん。わしは弓はもちろん、剣の鍛錬も怠った日はない。お主の強さは分からんが、相手をするには十分過ぎるぐらいじゃろう。ほれ、さっさと構えい」
どうやらそれは杞憂らしい。 義輝は静かに鞘から刀を抜き、正眼に構えた。
「ふむ、隙のない良い構えじゃな。ではわしから攻めさせて貰うぞ!」
まずは小手調べといった所であろう。祭が先制する形で義輝に仕掛ける。彼女の放つ一撃は重く、そして早い。
それは一撃に留まらず、三、四撃と続いていく。
「まだまだ!」
裂帛の気合いと共に、祭の剣撃は間断なく続く。 義輝は防戦一方である。
(む…なんだ?)
だが祭はその攻防の中でどこか違和感を感じる。
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