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暗闇の中で光るその鋭利な刃物は月明かりでキラキラと銀色に輝いて見え、美しいとすら思えた。
あ、わたし死ぬんだ。
ここで死ぬんだ。
“ 死 ”
を意識した途端、全身の力が抜けていくような気がした。
美しい輝きを纏ったものが振り下ろされた。
ゆっくりとスローモーションのように感じられる。
そして、目を閉じた。
あ、れ。痛くない…?
ーーーヒュンッ
勢いよく風を切る音…。
ーーードスッ…ボタボタボタ
「…うぅあっ!くっ!き、貴様っ!ぐ、ぐはっ」
辺りに生臭い血の匂いが広がった。
命が助かった安堵と自分でもよくわからない恐怖から涙が溢れてとまらない。
「…あ、う、うぅ、」
と突然、澪の身体は何かにふわりと包まれた。
「…もう、大丈夫だから。」
高すぎず低すぎず心地の良い優しい声で誰かがそっと囁いた。
わたしこの人の声、
好きだ……。
澪は強い緊張状態から解放され意識を失った。
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