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「…ん、」
早く家帰らなきゃ…。
まだぼんやりとした頭でそんなことを考えながら身体を起こした。
よかった、幸いにもあの不審者らしき男は居ない。
でも
「どうやって帰ろう…。」
てかここどこなのよーーーっ!
心の中で怒鳴りながら澪はポケットから携帯を取り出す。
「な、んで圏外なの?」
ここは野外だし、高いビルなんかもない。
圏外のはずないのに…
でも使い物にならないものはしかたない。
澪は歩き出した。
歩き出して妙な違和感を感じた。
どう考えても暗すぎる。
明かりがひとつもない。
いや、それだけじゃない。
家の高さは低いし、道路もコンクリートではなく、土がむき出しだった。
おかしい。
ここはあの時いた公園じゃない!
そう思うと余計に怖くなった。
繋がるはずもない携帯を握りしめ、行く宛もないまま、じっとしていられなくて走り出した。
「はぁ、はぁっ」
走れば走るほど恐怖は大きくなっていく。
その時、
「おいっ!お前何者じゃっ!」
背後から声が聞こえた。
たった数秒の出来事が何千秒、何万秒のように感じられた。
その声は願っていたような人の声ではなく、敵意を含んだ男の声だった。
“コロサレル”
一瞬でそう悟った澪は本能的に走り出した。
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