27人が本棚に入れています
本棚に追加
「ーはぁっ!はぁっ!誰かっ誰か!助けて!」
必死に叫ぶが辺りは明かり一つない暗闇だ。
恐怖で上手く足が動かない。
走れない。
ううん、違う。
自分が何処にいるのか、ちゃんと走っているのかどうかすら分からない。
ーーータッタッタツ
「どこにいった!?早く探せっ!」
さっきの男たちの声が聞こえる。
咄嗟に家らしきものの裏に身を潜めた。
「は、はぁ、はぁ」
恐怖で全身がガタガタと震える。
ザッ…
ザッ…
ザッ、
足音が近づいてくる。
心臓がバクバクと物凄い速さで音を立てている。
声が漏れてしまわないように手で強く口を押さえた。
しかし、
ガンッーーー!
「こんなとこに居ったんか。手間取らせやがって。」
「…あ、あ、あ、」
声が、出ない。
逃げようとしても力が入らない。
「悪く思うなよ。あれを見ちまったやつは生かしとけれんのんじゃ。」
男は薄気味悪い笑みを浮かべながら腰から銀色に輝くモノを抜いた。
最初のコメントを投稿しよう!