救世主

6/9

4人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
ー契約ー “救世主(アギト)”の誕生の際には、 契約と呼ばれる儀式を執り行う必要がある。これは“天界”において“神”を呼ぶ儀式 「神威召喚」を応用したもの。 契約の前段階として、人間が何らかの理由で抱いた強い感情を、“天界”にいる“神”が感知する必要があり、“神”が人間の存在を捉えると両者の間で次元を 超えた会話が可能となる。“神”はその人間に、『聖痕』を与える代償として「人間としての過去・現在・未来の全て」が失われることを提示し、人間側がそれに同意すると「強制力を持つ約束」である契約が成立する。 契約が成立した段階で圧倒的な存在感 と“悪魔”同様の独特な違和感を放つようになり、因果や法則から切り離されるため、肉体的な不老と無限の寿命を得る。すなわち、この世に在りながら人間界の法則に捉われない存在となる。 契約が成立すると、契約者である人間の「人間としての過去・現在・未来の“生命の力”」を全て「召喚」の代償として失わせ、人間界の時空に空白を作る。その空白を『聖痕』に見立て、「召喚」により『聖痕』の中に転移し た“神”が、契約により『聖痕』の中に固定されることで“救世主”は誕生する。「人間の身の内に“神”が入った」と表現されることが多いが、“救世主”の肉体そのものは通常の人間と同じである。 “神”は、“悪魔”に恨みを持つ「復讐者」を選んで契約する傾向があり、その理由として、憤怒と憎悪が最も強力な感情の一つであること、復讐という目的は人間に全てを捨てさせること、などが挙げらる。古い時代には“悪魔”に恨みを持つ人間も多く、“神”も有能な人間を選んで契約できたが、法術『隔離』が普及した現代では“悪魔”への恨みを持つ人間が減少し、基本的に契約者を選ぶ余裕はなくなっている。また、契約には人間の強い感情が必要なために 若年者が契約する傾向が強く、老人の“救世主”は珍しい。 “救世主”が死ぬと自動的に契約が解除されるほか、“救世主”が望めば、任意で契約を破棄(=聖痕を捨てる)できる。 精神崩壊により「契約し続ける意志」を失った場合にも契約が解けることが確認できる(実質的には聖痕の暴走)。契約が解けた場合、“救世主”は肉体が砕け散り消滅する。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加