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はぁ…と俺、馬場昭二は学校の玄関で盛大に溜め息を吐いた。
溜め息は教室に居たときから何度も吐いたが、改めて現実を突き付けられると溜め息は何度でも出てしまう。
「…何で、雨降っちゃうのかなぁ」
テレビのお天気ニュースでは晴れを指していたが、母は傘を持っていくよう言っていた。
俺はニュースを信じた結果、立ち往生している。
ニュースじゃなくて母を信じれば良かったと内心呟いた。
ザワザワと喋りながら下校していく彼らをボンヤリと眺めていた。
羨ましいなんて言ったら、嘘ではなく本当だ。ここで嘘ついても仕方の無いことなのだかな。
「何、ボサッとしてんだ、昭二?んー…傘、忘れたのか?」
「まぁ……な」
俺は苦笑しながら、話し掛けてきた浅倉優一に答えた。
「だったらさ、俺の傘に入れよ。まぁ……狭いけどな」
「野郎二人でか?」
「…風邪引くよりはマシだろ?それに俺……」
優一は言いかけたまま黙り込んだ。
表情は、いつもひょうきんで明るいイメージとは違い、真剣で切羽詰まった表情だ。
「優一?」
俺は覗き込むように、優一の顔を見ると優一は驚いたのか、ビクッと肩が上がり後ろに下がった。
「そこまで驚かなくてもいいだろ」
「あっ…悪い。考え事してた。そんなことより、帰ろうぜ?」
「おう。ありがとうな、優一」
俺は、野郎二人じゃ狭い傘に入った。
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