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「……で、坂田くん。ゾンビの弱点は何かな?」
蓑川が唐突に質問してくる。
「弱点っすか……まぁ映画を見ている限りだと頭じゃないすかね」
ベストアンサーだろ。これ以上の答えないぜ。
坂田はタバコを指の間で弾き吸い殻を落とす。
「頭かぁ。ベタだね」
蓑川は笑いながら答える。
いや……それ以外ないだろ!と心の中でツッコミを入れる。
すると、蓑川は急に真面目な表情になった。
「坂田くん。私達と一瞬に行動してくれないかな?お互いにとってもいいし、生き残る確率も上がるだろ?」
坂田は焦って答える。
「何を言ってるんですか。もう助けが来るんですよ?ハッピーエンドじゃないすか」
蓑川は無言で音楽プレーヤーを取り出す。
「今朝録音したんだ」
蓑川がスイッチを入れると校長の声が流れ始めた。
『いいか?この事は他言無用だぞ?政府は感染経路を絶つためにここを爆撃するらしい。もちろん生存者を助けてな。その為のワクチンが今1000本ほど来ている。そこでだ。私とお前だけがワクチンを打ってあとは売りさばいちまうってわけよ。そうすれば儲かるぞ。いいか?誰にも言うなよ?』
「……校長室の前で録音したんだ……」
爆撃だと?冗談じゃない。一刻も早くワクチンを入手し、脱出しなければ!
「坂田くんが考えてることは分かるよ。だから……私達を助けて欲しいんだ!」
蓑川は一生懸命に訴える。
「分かりました……手を組みましょう!」
俺は蓑川に握手を求める。蓑川はすぐに反応し、手を握る。坂田と蓑川は思いきり握り、腕をぶんぶん振った。
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